島根県のIT企業が連携して教育DXを支援する取り組みとして、島根県立出雲商業高等学校でDX授業が実施されました。
本授業は、同校からチーム出雲オープンビジネス協議会へ教材作成と講師派遣の相談があったことをきっかけに企画されたものです。協議会の会員企業である日本ハイソフト株式会社と三島笑会が連携し、生成AIとレーザーカッターを活用した実践型のDX授業を実施しました。
授業では、生成AIとの対話を通じてアイデアを深め、オリジナルコースターのデザインを制作。
デジタル技術を活用してビジネスの価値を生み出すプロセスを体験的に学ぶ内容となっています。
授業は2026年3月6日から13日にかけて実施され、1年生全クラスおよび2年生の商業科の選択クラス&情報処理科を対象に、合計6クラス(約200名)の生徒が参加しました。
DXを体験的に学ぶ授業
今回の授業では、DXを単なるIT導入として捉えるのではなく、「ビジネスの価値を変えるデジタル活用」という視点から学ぶ構成としました。
講義では次のようなテーマを扱いました。
- マーケティング・簿記会計とDXの関係
- ITとDXの違い
- ビジネスにおけるDXの具体例
- 生成AIとの付き合い方
これらの内容を踏まえたうえで、生徒が実際にデジタル技術を使ってアイデアを形にする体験を行いました。


生成AIを使ったアイデア整理
今回の授業で特徴的だったのは、いきなり画像生成を行うのではなく、まず生成AIとの対話を通じて自分のアイデアを深掘りするプロセスを取り入れた点です。
生徒は生成AIに次のような役割を担わせました。
- 自分のアイデアを深める質問を生成する
- その質問に回答しながらコンセプトを整理する
- 具体的なデザインの方向性を明確にする
このプロセスにより、AIを単なる「答えを出すツール」として使うのではなく、思考を広げるためのパートナーとして活用する方法を体験しました。
授業では主に
といった生成AIを使用しました。
生成AIを「考えるパートナー」として活用
今回の授業では、生成AIにいきなり画像を作らせるのではなく、生徒のアイデアを深めるための対話からスタートしました。
まず生徒には、生成AIに次のような指示(プロンプト)を入力してもらいます。
オリジナルコースターのデザイン画像を作成していきます。
現在考えている内容は以下の内容です。
アイデアをより深めるための質問をしてください。
その後、生徒は自分の考えているテーマやイメージを入力し、AIから提示された質問に答えていきます。
例えば、AIからは次のような質問が提示されます。
- コースターのテーマは何ですか
- 誰に使ってもらうことを想定していますか
- 和風・ポップ・シンプルなど、どのようなデザインの雰囲気にしたいですか
- モチーフにしたいものはありますか
- 色や形にこだわりはありますか
生徒はこれらの質問に回答しながら、自分の考えを整理し、デザインのコンセプトを明確にしていきます。
このプロセスを経てから、生成AIに画像生成を依頼することで、より具体性のあるデザイン案を作成することができます。
今回の授業では、生成AIを「答えを出すツール」としてではなく、思考を広げるためのパートナーとして活用する方法を体験してもらうことを意識しました。
AIで生成したデザインをコースターに
アイデアが整理された後、生徒は生成AIに画像生成の指示(プロンプト)を作成し、オリジナルのコースターデザインを制作しました。
生成されたデザインはデータとして出力し、レーザーカッターを使って実際のコースターとして加工します。
デジタル上で作ったデザインが、実際のモノとして完成することで、生徒たちはデジタル技術が持つ可能性をより具体的に実感することができました。


生徒アンケート結果
今回の特別授業を受講した生徒からは、デジタル技術が実生活や将来の仕事に直結することを実感したという声が多く寄せられました。
1. 授業の満足度と驚きの発見
アンケートの結果、ほとんどの生徒が5段階評価で最高評価を付け、「とてもよかった」「よかった」と回答しています。
生徒たちにとって、自分のアイデアがAIを通じて即座に可視化され、さらにレーザー加工機によって実物(コースター)になる体験は、これまでにない新鮮な驚きだったようです。
- デジタルデータから実物を作れるということを初めて知って驚いた。
- AIは指示の出し方一つで結果が劇的に変わる。自分の理想に近づけるプロセスが面白かった。
- AIに自分から指示するだけでなく、逆にAIから質問してもらうことで、自分の考えを深められるという新しい発見があった。
2. 制作過程での工夫:プロンプトへのこだわり
「頭の中にあるイメージをどう言葉にするか」というプロンプト(指示文)の構築に、多くの生徒が熱心に取り組みました。
- ターゲットや使用シーンを具体的に決めてからAIに指示を出すことで、より納得感のあるデザインになった。
- 最初はシンプルに作り、後から条件を付け足して理想に近づけていく工夫をした。
- AIに『意見を深めるための質問をしてください』と頼むことで、自分では思いつかないような視点を取り入れた。
3. 苦労した点:意思疎通の難しさと楽しさ
一方で、AIとの「意思疎通」には多くの生徒が苦労し、そこがまた学びのポイントとなりました。
- 頭の中のイメージを言語化するのが難しく、伝え方一つで全く違う画像が出てきて苦戦した。
- リボンの数を半分にしてと頼んだら、右半分だけ消されてしまうなど、AI特有の解釈に戸惑うこともあった。
- 細かい線の表現や配置の微調整が難しかったが、何度も試行錯誤して最終的に納得のいく形になった時は嬉しかった。
4. 将来への展望と自己肯定感の向上
特に印象的だったのは、「デザインへの苦手意識が解消された」という感想です。
- 絵を描くのが苦手でデザイン活動は嫌いだったが、AIを使えば自分でも素敵な作品が作れると分かり、将来仕事でも活用したいと思えた。
- AIを使いこなす能力があれば、将来いろいろな仕事が楽になったり、新しいアイデアを生み出せたりするのではないかと感じた。
このように、生徒たちはAIを単なる「便利な道具」としてではなく、自分の可能性を広げるパートナーとして捉え、楽しみながらも真剣にモノづくりに取り組んでいました。

今後の「出商デパート」などの行事や、卒業後の進路においても大きな糧となると思います!
地域でDX教育を試行する取り組み
今回の授業は、学校内だけにとどまらず、近隣校との情報共有も視野に入れた取り組みとして進められています。
今後も地域全体でDX教育の実践を試行しながら、より効果的な学びの形を模索していく予定です。
三島笑会としても、地域の教育機関と連携しながら、デジタル技術を活用した学びの機会づくりに取り組んでいきたいと考えています。
