1. はじめに:なぜ自治体のデジタルスタジオでゲームを?
近年、小学校でもプログラミング教育が必修化され、デジタルデバイスの早期学習が求められています。
私たちがお手伝いさせていただいているいずもデジタルスタジオでも、「子どもたちが楽しくPCに触れるきっかけ」としてゲーム体験を導入しました。
しかし、ただ遊ぶだけでは不十分です。
このスタジオの最大の目的は、キーボードやマウスなどのPC操作に慣れること。
そして、保護者の方々が安心して子どもたちにデバイスを使わせられるよう、安全な利用環境の啓発も重要な役割です。
今回、特に小学生に人気の高い「フォートナイト」と「Roblox」という二大ゲームタイトルをテーマに、保護者・お子様双方に向けた啓発チラシを作成しました。
2. 課題:「キーボード慣れ」と「年齢制限」の両立
デジタルスタジオを訪れる子どもたちの多くは「フォートナイト」をやりたがります。
しかし、フォートナイトはCERO C(15歳以上対象)または13歳以上推奨のゲームであり、小学生が利用するには安全性やコンテンツの面で注意が必要です。
そこで、私たちは以下の軸で、推奨ゲームを「Roblox」に絞り込み、その理由を丁寧に伝える必要がありました。
- 保護者への情報提供: なぜフォートナイトは不適切で、Robloxが安全なのか。管理機能の違いを明確にする。
- 子どもへの理解: 「やりたいゲームができない」という不満ではなく、「もっと楽しい、今の君にぴったりのゲームがある」と納得させる。
- スタジオの目的達成: PCの基礎操作(タイピング、マウス制御、視点変更など)を自然に学べること。
3. 画像生成AIを活用したチラシ作成への挑戦
これらの複雑な情報を、A4縦サイズのチラシという限られたスペースに分かりやすく、かつ魅力的にまとめるため、画像生成AIの活用を試みました。
今回使用したのは、Googleの先進的な画像生成AIである「Nano Banana」です。テキストで指示を出すだけで、視覚的に優れたデザイン案を迅速に作成できる点が魅力です。
初回の生成と試行錯誤
まず、チラシに盛り込みたい情報や構成の指示を与えて、最初のチラシイメージを生成しました。
元のテキスト生成には「ChatGPT」を使用しました。これまでの経験では、情報の集約や日本語文章生成について自分の感覚に近かったことが理由です。
「Chat GPT」で生成したテキストをコピペして、「Nano Banana」で画像を生成してみました。

しかし、1回目の実行では、以下のような課題を感じました。
- 情報が混在していたり、レイアウトがやや複雑だった
- 意図した「一目でわかる簡潔さ」ではない
- 漢字やひらがなが正しい日本語文字ではない
AIにデザインを依頼する際も、より具体的な指示出しが重要であることを再認識する機会となりました。
2回目の生成で納得の仕上がりに!
そこで、私たちは指示をより細分化し、セクションごとの明確な区分、色の使い方、イラストの配置イメージなどを具体的に指定して、2回目の生成を実行しました。
その結果、全体レイアウト、情報を示すための図形(チェックマークやバツマーク)、そして保護者・子ども向けメッセージの視覚的な分離などが非常に見やすい、期待通りのチラシイメージが完成しました!

AIが単に画像を生成するだけでなく、ユーザーの意図を汲み取り、それを超える提案をしてくれる可能性を強く感じました。
4. 完成した啓発チラシのポイントと内容
完成したA4縦サイズのチラシは、「安全性の情報提供」と「楽しさの訴求」を明確に分けたデザインと構成になっています。
A. 保護者様向けエリア:安心を届ける情報比較
フォートナイトとRobloxを比較表で示し、特にRobloxの優位点である「チャット・課金などの詳細な管理・制限機能」を強調しました。
| ゲーム名 | 推奨年齢 | 安全管理 | デジタル学習の側面 |
| フォートナイト | 13歳以上推奨 (CERO 15歳+) | 限定的 | 高度な操作スキル |
| Roblox | 7歳以上 (CERO B) | 保護者が細かく制限可能 | キーボード・マウス操作練習に最適 |
B. お子様向けエリア:「楽しい練習」を促すゲーム紹介
フォートナイトを否定せず、「大きくなったら挑戦しよう」と伝えつつ、Robloxでできる具体的な「楽しい練習」を提案しました。
特に、キーボードとマウスの操作習熟に役立つ人気ゲームを3つ厳選し、どの操作スキルが身につくかを明記しました。
| Blox Fruits | 複雑なPC操作(移動キーとマウス攻撃の組み合わせ)の練習に。 |
| Adopt Me! | タイピングや細かいマウス操作(アイテム配置や家づくり)の練習に。 |
| Tycoon系ゲーム | クリック操作や数字管理など、PC作業の基礎的なスキル習得に。 |
5. まとめ:デジタルとの健全な出会いをサポート
このチラシは、画像生成AIの力を借りて、単なるゲームの紹介に留まらず、「自治体が提供する公の施設として、子どもたちの安全と成長に責任を持つ」という姿勢を示すツールとして生まれ変わりました。
私たちはこれからも、最新のテクノロジーも活用しながら、PC・デジタル機器との「はじめの一歩」が、保護者にとっても子どもたちにとっても、不安ではなく、ワクワクする体験となるようサポートしてまいります。

